回想シーンでご飯3杯いける

今日の空が一番好き、とまだ言えない僕はの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.9
「勝手にふるえてろ」「私をくいとめて」の大九明子監督による最新作。拗らせ気味の女性の感情を叩きつけるような作風が魅力の彼女が、今度は男1人、女2人の三角関係を描く。

典型的な大学生のライフスタイルになじめない小西(萩原利久)と花(河合優実)が意気投合する冒頭から感覚的な脚本が冴えまくりで、作品世界にぐいぐい引き込まれる。脇を固める登場人物も不思議な人達が揃っていて、あるある系の共感映画に陥っていないのが良い。

実は本作、ジャルジャルの福徳秀介による小説を原作としており、ジャルジャルらしいシュールでぶっとんだ会話劇から、青春の葛藤や甘酸っぱさを描き出す構成も大九明子のテイストと非常にマッチしている。この組み合わせだから成し得た、他ではちょっと見当たらない映画と言って良いだろう。

その個性が強烈であるが故に、編集ミスか?と思える突飛な場面転換や登場人物の心変わりが何カ所かあったのだが、それは意図的なものだったのだろうか? 大阪吹田と京都出町柳という、僕自身にも馴染み深い街並みが舞台になっているのは嬉しかったが、場面の切り替えが忙しく、ストーリーを把握できていたかと言われると自信が無い。