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パサジェルカのspacegomiのレビュー・感想・評価

パサジェルカ(1963年製作の映画)
4.3
ナチスの収容所における看守と囚人という、極限的な非日常をともにした、対照的な立場の二人の女性を巡る愛憎を、偶然の再会を通じて元看守が回想するという体で語られる。作中でも南米への逃亡が示唆されるが、戦後ナチスの人間が当時を物語ることなど、そうした「偶然」がなくては成し得なかったことは想像に難くないし、再会した相手が本当にその囚人だったかどうかはさして重要ではない。というか十中八九他人だろう。そうした説話上の工夫までもが、なんとなく作品の神秘性を高める一因になっている気がしないでもない。もちろん未完であることが一番の要因だろうけど。
極限状況における同性愛的思慕も、相手にとってはエゴイスティックな服従欲としかとられない、視線を介した心理劇としても傑作。
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