KnightsofOdessa

トラフィックのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

トラフィック(2024年製作の映画)
1.5
[] 30点

テオドラ・アナ・ミハイ長編二作目。オランダで出稼ぎ労働をするルーマニア人夫婦の物語。妻ナタリアは真面目な性格で仕事熱心だが、ある日金持ちの覆面パーティでウェイトレスをしていた際に性被害にあってしまう。加害をしたらしきオランダ人の男は美術館のキュレーターで、様々な意味での復讐をきっかけとして美術品窃盗の物語が動き始める。一方で夫ジベルは善良な人間だが、すぐに金が必要ということで地元の悪友イツァたちに協力することになり、犯罪の深みへハマっていく。ナタリアへの性加害問題が美術品窃盗問題へとすり替わってしまい、前者の描写もかなり曖昧に描かれているために何もかもが薄いままラストに繋げちゃうのはどういう意図があるのか。ジベルも善良な人物というより愚鈍という方が近く、そのせいでテーマがブレてしまう感じはする。また、オランダからルーマニアに帰ってきちゃうせいで、薄い皮肉がもっと薄まってしまった。移民に関する色々なテーマや両論併記が乱立していて散漫な印象を受けた。脚本はクリスティアン・ムンジウだが、おそらく上手く連携が取れてないんじゃないか。ムンジウ本人が撮るなら自分の文法や現場で補完できる部分を、監督が脚本をそのまま撮ってるせいで意味が分からなくなってるんじゃないか?ちなみに、上映中に後ろの席のガキが喋り続けるわ椅子を蹴り続けるわで非常に腹が立ったんだが、監督の娘だったらしい。となると、隣で普通に会話してたのは監督本人か。自分の映画をわざわざ初日に観に来た観客だぞ?どうなってんだよ。
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