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英国人の手紙のRinのレビュー・感想・評価

英国人の手紙(2024年製作の映画)
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アンゴラの歴史を辿る旅にあなたはついていけるか──東京国際映画祭2024コンペ。父の残した「英国人の手紙」を探してアンゴラの地を移動する詩人の男の物語と、ポルトガル植民地時代の物語が並行して語られていく。アンゴラの絶景をおさめた映像はそれだけで見応えがあるものの、アンゴラの地理や歴史をある程度おさえておかないと劇中に登場する「ルアンダ」や「共産主義」といった単語を拾って立体的な物語理解を組み立てることが難しい作品で、受験世界史の知識をすっかり忘れていた私には歯痒い思いをしながらの鑑賞になりました。

あとから少し調べたことをまとめると、以下のような歴史的経緯があるようだ。アンゴラは15世紀にコンゴ王国をキリスト教化しようとする目論見に失敗したポルトガルの次なる征服先となった土地であり、現在も首都となっているルアンダは、教科書に出てくる探検家バルトロメウ・ディアスの孫であるパウロ・ディアスが建設した海港がもとになっている。その後、アンゴラは17世紀にポルトガルのライバル国だったオランダと手を結び抵抗するも敗れ、長らくポルトガルの植民地となっていたが、いわゆる「アフリカの年」の翌年1961年に始まった独立運動の結果、1975年に独立を果たす。しかし、独立運動を指導したアンゴラ開放人民運動(MPLA)は社会主義を掲げていたため、アンゴラは米ソ代理戦争の舞台となってしまい、2002年まで内戦が続くことになる。

多くのアフリカ諸国と同じく、西欧列強の思惑に揺さぶられて自国の歴史を築くことができなかった典型的な植民地だったわけだ。まあ、これらを理解しておけば映画がすんなり入ってきたかと言われると怪しいところもあるが。

波が海岸線と並行して移動していく奇妙な風景があったけど、あれは何だったんだろう。アンゴラにはああいう自然現象があるんだろうか。

この前に観た黃熙(ホアン・シー)『娘の娘』との間に少し時間があったので、有楽町・丸の内エリアで映画を観る時によく行く喫茶店「ブリッチ(BRIDGE)」で煙草を吸いながらアイス珈琲を2杯ガブ飲みしたら、鑑賞途中とエンドロールで2回トイレに立たなくてはならなくなってしまった。丸の内TOEIの2階席に座ってて周りに人がいなかったので迷惑をかけてしまうのは避けられたと思うけど、完全にニョーイ・マネジメントのミスだ。今週末に観るラヴ・ディアス4時間とか特に気をつけないとな。
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