動物の死骸が降り注ぐポスト・アポカリプス──東京国際映画祭コンペ。馬が頭を車にのめりこませている衝撃のカークラッシュで幕を開ける本作、なぜそんなことが起こっているのかひとっつもわからない変ちくりんな映画で、冒頭30分くらいはお祭り気分で楽しめた(以降はしんどすぎた)。舞台となるのはブラジルの田舎町。町には病気が蔓延し、食料が乏しく、カルトが幅をきかせ、金持ちはロケットで脱出しようとしているようだ。そんなポスト・アポカリプス的田舎町で、主人公のエジガル・ウィルソンはトマスという先輩と動物の死骸回収業者をやっている。この町ではなぜか動物が死にまくるのだ。交通事故の場合もあれば、空から降ってくる場合もある。ふたりだけで、月に230体くらい回収するらしい。どんな町だよ!
本作は7話構成になっており、黙示録がもとになっているらしい。キリスト教に詳しい人が観たら読み解ける映画だったんだろうか。頼む、そんなことないですであってくれ。意味不明な現象が巻き起こりに巻き起こるから途中までは景気よく楽しめたけど、じっとりトーンの後半は早く次の話に行こうぜと退屈する気持ちが勝った。“My Heart Will Go On”に乗せてショットガンぶっ放しに行くのは気持ち良かった。
エピソード2番、エジガル・ウィルソンとトマスが街に脱出しようと平ボディーのトラックを走らせるシーンで、路肩で事故った車を追い越す時、ボンネットの位置から進行方向をうつしていたカメラが追い越す瞬間に180度首を回し、座席に座るふたりの間からフロントガラスとリアウインドウの2枚を隔てて後方の事故車をとらえるカメラワークがあり、これは今まで観たことなかった撮り方でちょっと面白かった。