【帳簿が消えた!】
動画版▽
https://www.youtube.com/watch?v=AMdRfcXxvEo
ワン・ビン縫製工場シリーズ『青春 苦』を観た。シアター・イメージフォーラム最前で観たのだが、手ブレ激しい撮影に画面酔いするも前作の注目ポイントであった労働者による団体交渉を掘り下げた内容に圧倒された。
序盤こそは『15 HOURS』『青春 春』の使い回しかと思う類似の場面が続くのだが、1時間過ぎぐらいで局面が大きく変わる。帰省を控えた青年が、報酬を受け取ろうとするのだが帳簿が消えてしまうのだ。帳簿なくして支払いなし。会社のルールと対峙する。平行線のディスカッション。探せども探せども見つからない帳簿。デッドロックとなりヒリつく会話。我々は、流石に青年が悪いと思うのだが、それは罠だった。
社長による暴行事件があったと現場は騒然となる。そして、社長は消えた。汗水垂らして稼いだはずの金も消滅した。残された者たちが、残された残骸を漁り、次なる工場で適正な労働をできるよう、報酬の設定を議論しながら行う。労働者同士対立し、また新しい社長とも平行線の闘いをしながら権利を勝ち取ろうとする。もとい、搾取の坂、現在地に留まるためにもしぶとく議論しないといけないのだ。
日本ではあまり見かけない団結/交渉/執念の苦難を目の当たりにしたのであった。