eikotomizawa

メネンデス兄弟のeikotomizawaのレビュー・感想・評価

メネンデス兄弟(2024年製作の映画)
3.7
男児への性虐待の可能性が性差によって判断に隔たりが出たことに驚いた。

証言による虐待の様子の惨たらしさに手先が震えてしまい、飲み物をこぼしてしまうほどだった。加害環境や子供へのグルーミングと脅迫、事実を追認しながらも母が夫擁護に徹する状況はカミーユ・クシュネル『ファミリア・グランデ』の様相が重なるが、違いがあるとすれば実父か継父かの差と、兄弟構成、そしてカミーユは告発、メネンデス兄弟は惨殺を選んだ。権力や社会的地位のみならず、
倒錯した支配欲を抱えた大人たちの罪をどうして子がここまで背負い続けないとならないのだろう。

なによりいつの時代も世間というか、烏合の衆たちが、赤信号みんなで渡れば怖くない的な感覚で、的外れなコメントを粋だと勘違いしながら競うように論じていく様子が昨今のスキャンダルとも重なって、ほとほと厭世気分に。

終身刑で服役していた兄弟へは約三ヶ月前に、米検察が量刑見直しと仮釈放を勧告している。
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