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王様の剣の655321のレビュー・感想・評価

王様の剣(1963年製作の映画)
2.8
アーサー少年が王様になるまでのお話。

棚ぼた感は否めない。
岩に刺さっている剣を抜いたから王様になる!
なんていかにも“運命的”な感じなのに、
この映画の描写は“棚ぼた的”だ。
アニキに「剣を取ってこい!」と怒られたから、近くにあった岩に刺さってる剣を引っこ抜いてみました!というテキトーさ。
こんなんで王様になっていいんか…?
というのはアーサーも同じなようで。
自分には無理だ!と言い出す。

運命という甘い響きは人を苦しめることもある。

劇中でアーサーは魔法使いマーリンによってリスに姿を変えられてしまう。
アーサーはある雌リスに好かれ追いかけ回される。鬱陶しく感じるアーサー。
魔法が解け人間の姿に戻ると雌リスはショックを受けて泣き出す。
あれほど鬱陶しかったはずなのに、その姿を見てアーサーは傷つく。

運命という甘い響きはひどく鋭利だ。

映画ではアーサーが立派な王になるトコまでは語られない。
あぁいや、未来から帰ってきたマーリンが「アーサーは立派な王になる」という“運命”を台詞で語る。
この先アーサーはどれだけ苦労するのだろう。
でも“棚ぼた”を“運命”に変えたのはアーサーの努力の賜物だろう。

決して運命の否定ではない。
運命に追いつくための物語だと思う。
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