カルレス・トレンス監督作。
『ペット 檻の中の乙女』(2016)のスペインの新鋭:カルレス・トレンス監督の新作で、ゾンビ化ウイルスが蔓延した世界で生き残りを図る男の姿を描いたサバイバルホラーです。
感染すると正気を失い狂暴化する未知のウイルスが地球全土に蔓延した世界を舞台に、1年前に交通事故で妻を亡くした孤独な弁護士の男が、姉夫婦が避難した安全な地であるカナリア諸島を目指し、一匹の愛猫と共にスペイン各地を奔走していく姿を描いた“ゾンビサバイバルホラー”となっています。
Amazonスタジオが制作した正統派のゾンビ物となっていて、過去のゾンビ映画の王道を素直に踏襲した展開&演出で手堅く魅せてくれます。今作のゾンビはゆったりした動きが特徴の古典ゾンビ(ロメロゾンビ)ではなく、全力ダッシュ&俊敏な挙動で追い回してくる超肉食タイプとなっていて、神出鬼没な狂暴ゾンビの群れから逃げ惑いながら危険地域からの脱出を図る主人公の必死の奔走が他の生存者たちとの関わりと共にスリリング&ノンストップに活写されます。
ゾンビ映画には『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)、『ブラックシープ』(2006)、『ゾンビーノ』(2006)、『ウォーム・ボディーズ』(2013)、『ライフ・アフター・ベス』(2014)、『アナと世界の終わり』(2017)…と数多くのバリエーションが作られてきましたが、本作は極限状況下のサバイバルホラーに原点回帰したコメディ色皆無の正統派ゾンビ物に仕上げていますし、いかなる窮地でも愛猫の安全確保に余念がない主人公の“猫愛”溢れる立ち回りも見所となっています。