回想シーンでご飯3杯いける

秋が来るときの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

秋が来るとき(2024年製作の映画)
4.0
田舎で一人暮らしをしているミシェルの元に、離婚を控える娘と孫息子が訪れる。母親に対する敵意を隠さない娘。その背景にはいったい何があるのか? 対して孫息子は素直でミシェルに懐いている。

「実家に帰ったら」という設定や、さり気ない会話の中から登場人物の心の中を描く手法は是枝裕和作品に近いテイストだ。秋のブルゴーニュの景色も美しく、自然と作品世界に入り込める作りになっている。

そこに加わるのはミシェルの古くからの友人と、その息子。2人とも良い人だが、何か過去を抱えているように見える。

表面上は穏やかなテイストでありながら、物語が進むにつれ各々が抱える葛藤の部分が少しずつ見え始め、やがて事件が起こる。

サスペンス的な展開が用意されているが、そこの決着を求める映画では無いと思う。鑑賞後も様々な思いが残る、奥の深い作品だ。