滝和也

宇宙戦争の滝和也のレビュー・感想・評価

宇宙戦争(1953年製作の映画)
3.5
宇宙からの来訪者。
彼らは地球を狙っている。

SFの古典であり、原点。

「宇宙戦争」

敵は火星から突如来訪する。最新兵器は地球の科学力を遥かに凌ぎ、人類はなす術もない。ウェルズの古典SF小説の映画化であり、トム・クルーズ主演によりリメイクもされた名作です。そのプロットはすべての侵略ものに影響を与えていますし、特に日本の漫画・アニメ・特撮にも影響は大でしょう。

ある日、隕石がカリフォルニアの田舎町に落下。偶然居合わせた研究所のクレイトン博士が調査を開始。だがその中から巨大なウォー・マシンが起動。バリアと熱線により出動した軍を蹴散らしていく。それは始まりに過ぎなかった。隕石は世界各地に落下していたのだ…。

ウォー・マシンのデザインが秀逸で、色も素晴らしい。熱線の光学合成も古き良き時代を思わせてくれます。磁力による浮遊(リニアモーター)、触手型熱線砲、端部からの破壊光線、バリアとあらゆる攻撃を跳ね返し、破壊する。敵の姿をほぼ見せず、冷酷なマシンとして映し出され、怖さや絶望感を感じさせます。ミニチュアワークも絶妙で60年以上前に作成されたとは思えませんね。

ただ時代性故に核攻撃がロスの郊外で行われちゃうのはご愛嬌か?しかも今までの10倍の威力と言っちゃってます。当時のアメリカ人の感覚…うん?最近の作品でもゴジラやバットマンでも似たシーンが…。アメリカ人の核への認識は余り変わってないのかも知れません…。

後半は世界を巻き込みスケールが大きくなる中、主人公たちは混沌と混乱に巻き込まれ、絶望的な状況になります。この辺はとても上手く表現されていますし、パニックものとしても原点なのでしょう。

ラストは…これはとても有名なのですがあっさり。人類の叡智ではどうにもならない時、ある意味神がかり、神頼みになるのはキリスト教圏である、やはりアメリカの作品。また全体を通して神や宗教感を感じるのは、宗教感がない私達日本人ならではなのかなと思います。

奇しくも第一作東宝ゴジラが翌年公開であり、どうにもならないと思われる相手に対して日本人がどう考えたかは対比しやすく、また核への意識差も感じざる得ないと思いますね。またこの作品のプロットを使用した東宝作品も後年登場、「地球防衛軍」です。こちらも違いがわかりやすく、かつ面白い。オススメです。

古典であり、原点ゆえ加点してますが、一度は見ておくべき作品だと思います(^^)
滝和也

滝和也