しんご

ダイ・ハード2のしんごのレビュー・感想・評価

ダイ・ハード2(1990年製作の映画)
3.6
1作目を越えるとまではいかないが、クオリティ的にはかなり迫った続編であると思う。

前作でのジョン・マクティアナンに代わり本作ではレニー・ハーリン(当時30歳)が監督として大抜擢された。「クリフハンガー」(93)で高所恐怖症のスタローンを崖に登らせ、元嫁ジーナ・ディヴィスと組んだ「カットスロート・アイランド」(95)では大赤字を出した彼は現在まで一貫してアクション映画を撮り続けている。最近ではジャッキーの「スキップ・トレース」(17)が記憶に新しい。

ハーリン監督の最大の持ち味は良くも悪くも「大味」であること。リアリティを大胆に無視してでもテンポ良く痛快な作品造りに拘る彼の主義がこの「ダイ・ハード2」にも如実に表れている。

「グロック拳銃はX線検査機に映らない」と誤解を与える発言をするマクレーンに始まり、燃料切れに関わらず燃え上がる旅客機、爆発するのが明らかに遅い手榴弾とピックアップすれば枚挙に暇がないほど。

ただ、この大味演出と悪を許さないマクレーンの熱血漢振りが本作では絶妙な化学反応を起こしストーリーを面白く牽引していた。本作の悪役はダイ・ハードシリーズの中でも類を見ないほど命を軽視する鬼畜であり、そうした敵達をマクレーンがドラマチックに叩きのめす過程はやはりハーリン監督でなければ描けなかったのではと思う。「イピカイェ、クソったれ」と吐きつつ雪上の燃料にジッポの炎を投げ込むブルース・ウィリスの表情を見るとこちらまで溜飲が下がる思いがした。

余談だが、罠を張って待ち伏せする白ツナギのテロリスト役にロバート・パトリックという俳優が出演している。その演技を見たジェームズ・キャメロン監督は本作の翌年に公開された「ターミネーター2」(91)のT-1000役に彼を抜擢している。
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