明石です

サンセット大通りの明石ですのレビュー・感想・評価

サンセット大通り(1950年製作の映画)
4.2
売れない映画脚本家が迷い込んだ邸宅で、かつてのハリウッドスターに出会う話。落ちぶれた大女優が過去にしがみつこうとする姿は『何がジェーンに起こったか』を想起させるものがありました。

サイレント映画時代の大女優。自分の時代が終わったことを直視できず、自分を大物と思い込む姿は哀れそのもの。ですが執事がファンレターを書いて送ってきてることにも気づかず喜んでたり、ーたりと、可哀想で同情せずにはいられない。

51年のアカデミー賞で3冠を受賞した作品。タイトルは知っていたものの初視聴。(なおアカデミーの脚本賞など重要なのもは同年公開の『イブの総て』に総取りされたみたいですが)『サンセット大通り』も、文句なしの名作でした。

主人公が作家という設定なため、何処かに書き留めたくなるような詩的な表現が多く大満足。「過去から抜け出せないでいる。遠く過ぎ去ったパレードを、今か今かと待ち望んでいる哀れな女性」「彼女はまるでオリンピック選手のような過酷な日々を送った。決して回らぬカメラのために」などなど、文学チックな作風が個人的にドツボにハマりました。

ただし日本語字幕では「過去にしがみついている哀れな女性」みたいに、メタファーを切り落とした極限までシンプルな訳にされていた(洋画あるあるですが笑)ので、原文の散文的な息遣いを感じるためには、英語のまま見るのが良い気がします。

作中に出てくるYesterday drama queen「過去の女王」って表現がとても好き。この映画を一言で表す言葉ですねえ。
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