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サンセット大通りのかずシネマのレビュー・感想・評価

サンセット大通り(1950年製作の映画)
3.9
蛍の光も流れるし年末に丁度ええな。

グロリア・スワンソンの鬼気迫る芝居がとても良い。最終シーンが特に凄い…。
出演者は豪華。シュトロハイム監督作をまだ観た事がないんやが、観なきゃアカンな。

彼女は境界性か演技性か、何らかのパーソナリティ障害がありそうやけど、話を聞いているとそれも後天的な事の様で。
故意でもそうでなくても、作中で読み取れる限りの描写でも明らかに周りにも原因はある。
哀れな…と言うには彼女は気の毒だ。
チャップリンを演じてみせたシーンの可愛らしい事w
あそこだけはほっこりしたわ。

対象が何の事であれ
「昔の○○はこうだった、それなのに今はこんな感じ、それは由々しき事だ」
という思考が出たら、ちょっと危ういと思う。
少なくとも老害には片足を突っ込んでいる。
彼女の場合は…無自覚に「今の自分」を否定し続けていたのが駄目だったのやろうな。
登場した監督の対応を思うに、演技力は十分なはずで、出来る役は沢山あるはずなのに。。
温めていた脚本やって、彼女の人脈があればもっと早い段階から人に相談できたはずで。
シュトロハイム執事は彼女を守っているつもりで、とても残酷な事をしていたと思う。
哀しいなぁ。。

哀しい話やけど、主人公の毒舌にはンフフとなる場面が多かったわw
とっつきやすい雰囲気作りが流石のビリー・ワイルダー。
冒頭の、浮いている主人公を下から映すアングルで掴みもバッチリやった。
お人好し過ぎたな、主人公。

彼女の場合は相手を離れられなくする(囲い込む)タイプのヤンデレやからそれらとは少し違うんやけど、観ていると何か、ストーカーとか背乗りとか、そういう言葉も浮かんだわ。
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