三四郎

サンセット大通りの三四郎のレビュー・感想・評価

サンセット大通り(1950年製作の映画)
3.5
「真実が伝えられることは決してない。
記者たちが勝手に話をでっち上げてしまうのが、ハリウッドの常識だ…」
まさにその通りだと思う!
ハリウッドに限らず、この世の中全てそうかもしれない。
記事にされた時点で、他者が文章にした時点で、真実は永久に葬り去られるのだろう。

グロリア・スワンソンは、忘れ去られたサイレント時代の大女優という設定だが、その眼力、大袈裟な身振り手振り…、まさにサイレント時代の演技だった。それに対し、ウィリアム・ホールデンは、トーキー時代の俳優らしい自然な台詞回しと演技。
過去の栄光にしがみつき孤独を抱える狂気の女優さんが痛々しくて観ていられなくなるが、これがこの映画の怖い怖い演出なのだ。ビリー・ワイルダー監督のご注文通りに熱演したグロリア・スワンソンの鬼気迫る演技。恐ろしかった。

グロリア・スワンソン、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、バスター・キートン、セシル・B・デミル・・・と、よく出演OKしたものだ。それぞれサイレント時代の繁栄とトーキー以降の没落があったわけで、繋がりもあったわけで、過去の苦い思い出なども含め、皆、胸をえぐられるようなシーンや演出もあったのではないだろうか。

ビリー・ワイルダー監督は、艶笑喜劇の監督という印象が強かったが、この作品を見る限りなかなかどうしてかなり鋭く冷酷な面もあるのだと感じた。
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