イチロヲ

サンセット大通りのイチロヲのレビュー・感想・評価

サンセット大通り(1950年製作の映画)
4.0
ハリウッドの売れない脚本家(ウィリアム・ホールデン)が、サイレント期の栄光に縛られている女優(グロリア・スワンソン)との出会いを契機にして、虚実の狭間へと取り込まれてしまう。パラマウント撮影所の内幕を描いている、サスペンス・ドラマ。

ハリウッド業界のリアルとそこに付随するダークサイドを暗示させながら、メタ要素を含ませたドラマを紡いでいる作品。会社上層部の目を欺くために、まったく別物の映画を装いながら、撮影を強行したという逸話が残されている。

サイレント期に活躍した女優グロリア・スワンソンが、まるでストーリー・テラーのような立ち位置で、ハリウッドの地縛霊となる存在を熱演。異空間に引きずり込まれた脚本家が、脱出劇を繰り広げるという観点からも見応えあり。

フィクションとドキュメンタリーが渾然一体となっており、華やかなハリウッドの内側に潜んでいるデカダニズムとカタストロフィを堪能することができる。特別出演のセシル・B・デミル、バスター・キートンが、台詞演技を披露しているところも必見。
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