miwan

サンセット大通りのmiwanのレビュー・感想・評価

サンセット大通り(1950年製作の映画)
3.4
どの登場人物も癇に障る。
生理的に見ていてイライラする。

1950年と現在とでは、作品を見る角度も受け取る方向も違ってくるかもしれないけれど、憐れな人物にイラつかせることが狙いのひとつであるなら、ワタシはまんまと罠に落ちたことになる。

人生を切り開く才能も勇気もない売れない脚本家ジョー。狂気的に過去の栄光に生きる元大女優ノーマ。無感情で狂信的な献身に身を捧げる執事マックス。はっきり断れない映画監督デミル。お気楽な友人アーティ。仕事よりも恋に悩み始めるアーティの婚約者ベティ。

全員ムカつくんだけど、何となく惹かれるのも確かだ。
ジョーは決して一線を越えないし「このままではいけない」という葛藤も薄っすら感じられる。
ノーマは狂気が振り切っちゃっているから却ってすがすがしい。
マックスの消し去った感情の中に沸々と燃えている天職の魂に圧倒された。彼はノーマの最高の演出家であり監督である。
そして、ベティからはこの時代に生きる女性の自立と、過去に囚われず自分を受け入れて前に進む強さを感じた。
miwan

miwan