Automne

ロルナの祈りのAutomneのレビュー・感想・評価

ロルナの祈り(2008年製作の映画)
3.8
いまも昔も変わらない。グレーなことして生きる人々。
偽装結婚、偽装の生活。ロルナがほんとうに愛したものはなんだったのだろう。産まれていない子どもか、それともソンムか、あるいはヤク中の男なのか、それとも。
はかないからこそ追いかけたくなる愛。
生と死が色濃く混ざり合うなかで、物語は終始ひっそり淡々とつづられるため、抑揚に欠ける。その分込めたものというのは伝わりづらかったというのが正直な印象ではある。絵は美しい。固定しないカメラの動線でこんなに綺麗に撮れるものなのかしらと不思議に思った。
ラストシーンが好きです、半分放り投げてかっこつけてる感じも含めて、幻想的で、フルマラソン完走したあとみたいな、ぼわっとした高揚感に包まれて眠る。明日なんてないのに、明日のご飯の心配をする。そんなひとつの些細な所作に彼女自身の気持ちが篭っている。これまでだってそうだったのです、明日なんて分からないその日暮らし。未来は明るくない、ならばせめて夢は見たい、なんて。
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