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氾濫の3104のレビュー・感想・評価

氾濫(1959年製作の映画)
3.7
近い時期に制作・公開された『闇を横切れ』『巨人と玩具』に似たテーマ/要素を持った作品。しかしその2作のような切れ味やパンチ(の威力、重さ)はやや後退し、相対的に登場人物のゲスさがより浮き彫りに。相変わらずテンポが良いのと、ラストシーンの秀逸さなどによりきちんと最後までダレずに観られるのだけど。

とにかく主要な登場人物が軒並みゲスい、もしくは世間知らずで愚か、もしくはその両方を併せ持っている。
川崎敬三の小物感(大好き。欲を言えばもう少しだけ“劇中では描かれないけれど密かに不気味なことを考えていそう感”が追加されていれば言うことなし)、左幸子の黒い艶めかしさ、中村伸郎の相変わらずさ、叶順子の健気な不機嫌さ、船越英二の倒錯具合・・。

因果応報などと高説ぶるつもりは毛頭ないが、堕ちるにせよ戻るにせよ揚がるにせよ、結局みな行き着くところへ行き着くのである。ラストで“昇った”彼だってもちろん、足元をすくわれたり足掻き疲れたりでいずれは別の場所へ行き着くのであろう。

あややがパッケージに大きく描かれているがメインはサブリどんと川崎ゲス三。あややの出番はそれほど多くはない。でもやはり可愛い。
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