ノラネコの呑んで観るシネマ

ラスト・ブレスのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ラスト・ブレス(2025年製作の映画)
4.1
2012年に北海で起こった、飽和潜水士の事故を描く実話ベースの作品。
同じ題材、同じタイトルのドキュメンタリー映画が先にあり、その共同監督の一人が、ドラマ版の本作も撮っている。
なので、全体的にドキュメンタリータッチで、スリリングに展開する。
飽和潜水士の仕事は、北海の沖合の石油リグから伸びるパイプラインの点検や修理。
だがある荒天の夜、母船のコントロール装置が故障し、波に流される。
母船からは、潜水士の中継基地となるダイビングベルが海中にぶら下がっているのだが、これも流され、作業中だった潜水士の命綱が引きちぎられてしまう。
海底91mに取り残され、非常用ボンベの酸素は、たったの10分しか持たない。
海上では、船のクルーが必死に船をコントロールして元の位置に戻そうとし、海中では、同僚のウッディ・ハレルソンとシム・リュウが、酸素が切れて意識を失った潜水士を、なんとか救出しようと奮闘する。
事故が起こってからは、ほぼリアルタイム進行で、描写は恐ろしくリアル。
普通のエンタメのように「盛る」ということをしないので、ジリジリとした待ちの時間が続き、ドラマチックなのは救出成功の時だけ。
それゆえに、ある意味ではエンタメ性に欠けると言えるかも知れない。
しかし、こんな絶望的なシチュエーションでも、最後まで諦めないプロフェッショナルの仕事は見応えがある。
この手の映画を観ていつも思うのは、奇跡の生還してすぐまた潜るとか、君ら頭おかしいで。