ノラネコの呑んで観るシネマ

リライトのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

リライト(2025年製作の映画)
4.5
これは面白い。
池田エライザ演じる尾道出身の作家は、10年前の高校生の自分が時を超えてやって来るのを待っている。
高校時代、彼女は300年後の未来からやって来た阿達慶と切ない初恋を経験し、その時に10年後にタイムリープし、自分が小説を書くことを知ったのだ。
しかし待てど暮らせど高校生の自分は来ない。
それどころか、自分の作品とそっくりの小説が一足先に出版されることになる。
誰かがどこかで、未来を書き換えている?
大林宣彦の尾道三部作、特に「時をかける少女」に大オマージュを捧げ、まさに「リライト」した様な作品。
脚本が上田誠だけに、一筋縄ではいかないだろうと思っていたが、コレは言わば「時かけ」+「ドロステ」+「リバー」のタイムリープものの満漢全席だ。
主人公が経験した初恋は、ほぼほぼ「時かけ」のまんま。
尾道ロケも堪能出来て、なんなら細田守版もほんのり入ってる。
だがやって来ない過去の自分の謎から、物語は驚くべき方向に。
キャスト的に、橋本愛がキーパーソンなんだろうなあとは思ってたが、変に目立ってた倉悠貴がああいう役割とは。
内容的にはネタバレになるので何も書けねえ系なんだが、やり尽くされ気味の時間SFでも、このパターンは初めて観た気がする。
端的に言えば、細かな時間の断片をパズルの様に組み合わせた脚本で、やってることは恐ろしく複雑。
これを腰折れしない様スムーズに繋ぎ合わせて、瑞々しい青春エンタメとして昇華するとか、交通整理の難しさは想像を絶する。
作者が、倉悠貴のキャラに感情移入してるのも分かるわw
それにしても、なんで2009年と2019年なんだろうな?
静岡が舞台だという原作の方に理由がある?
尾美としのりと石田ひかり、新旧尾道三部作からのゲストキャストも嬉しい。
ブログ記事:リライト・・・・・評価額1650円
http://noraneko22.blog29.fc2.com/blog-entry-1803.html