rage30

間違えられた男のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

間違えられた男(1956年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

強盗犯に間違えられる男の話。

実話ベースの作品という事で、エンタメ性は薄く、かなりシリアスな実録モノといった印象の本作。

今だったら監視カメラがあるし、筆跡鑑定も専門家が扱うんでしょうけど、当時はそんな技術があるはずもなく、被害者の証言と筆跡を見た刑事の判断で犯人扱いされてしまう主人公。
一度疑われたら最後と言いますか、為すがままに刑務所まで送られてしまう工程は恐ろしいものがありました。

そして、主人公は無罪を証明する為、証拠集めに奔走するのですが、その途中で妻が精神を病んで入院してしまいます。
この手の映画だったら「夫婦愛で無罪を勝ち取る」とか「夫を支える気丈な妻」みたいな展開を期待するじゃないですか。
そうした期待を覆すところが、すごくリアルだと思ったし、身内の裁判で病んでしまう人は結構いるんじゃないですかね?

ヒッチコックは実際の事件を忠実に再現したとの事で、個人的には『それでもボクはやってない』を想起しました。
変に娯楽性を挿し込む事もなく、冤罪事件が被害者にもたらす恐怖や後遺症を真摯に映し出す。
何時の時代も冤罪は起こり得るし、誰しもが被害者に、加害者になるかもしれない。
間違った判断をしない為にも、本作を通して、改めて冤罪について考えたいものです。
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