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異邦人のptitsaのレビュー・感想・評価

異邦人(1967年製作の映画)
4.5
早稲田松竹のヴィスコンティ特集にて.
ヴィスコンティは貴族を描いた映画しか観たことがなかったので,胸毛を生やしたマストロヤンニを筆頭に汚い人々が次々と映る映画は新鮮でした.
「夏の嵐」に比べると,各人物へのズームが随所に用いられているように思いましたが,そういう撮り方の変化があったのでしょうか.

最後の独房内での神父とのやりとりがこの映画の白眉ですね.暗闇の中で一筋の光が鬼気迫るマストロヤンニの顔を照らしていて,思わず息を呑んでしまいます.
恥ずかしいことにカミュの原作を読んだことがないのですが,表のポスターによればヴィスコンティはとにかく原作を忠実に再現することを心がけた,原作のスケッチを実現することがこの映画の使命だったという風に書かれていました.余韻が冷めないうちに,カミュの偉大すぎる原作にも触れてみて,比較してみようと思いました.
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