ノラネコの呑んで観るシネマ

リビング・ラージのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

リビング・ラージ(2024年製作の映画)
4.1
友人と組んだバンドで、ボーカルをしている少年ベンは、かなりのぽっちゃりさん。
音楽と脂と砂糖は人生の喜びだ。
だが、新学期のある日、女子たちが急にキレイになっていることに気付き、同級生のクララのことが気になって仕方がない。
思春期の目覚めを描いた、コミカルなチェコ製人形アニメーション。
人生で初めて、異性にどう見られるかを意識したベンは、いじめっ子に体型をバカにされ、保健室から警告されたこともあって、ダイエットを決意。
ダイエット専門医を受診し、野菜中心の健康的な食生活を心がけた結果、体重は少しづつ減ってゆく。
現実世界は人形アニメーションで、ベンの夢や妄想の世界は2Dの手描きアニメーションになるのが面白い。
思春期の衝動はダイエット効果絶大だが、萎むのもまた急激だ。
自分に気があると思っていたクララに告り、困惑の反応が返って来ると、人生真っ暗になった気分で、過剰に拗らせてしまうのだ。
離婚した父の新恋人が、キーパーソンとなるのは意外だったが、子供たちは両親だけでなく、色々な人たちから見守られている。
音楽と美味しいものへの賛歌となっているクライマックスまで、ビジュアルデザインを含め、カリカチュアを効かせながら、誰もが覚えのある思春期のリアルな葛藤を描き上げた。
キッズムービーだが、内容は人生の普遍性があり、大人も十分楽しめる。