イスケ

暴力脱獄のイスケのネタバレレビュー・内容・結末

暴力脱獄(1967年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

邦題が袋叩きだけど、ここまでやればB級映画を愛せるのと同じ理由でアリだなと思えるw

卵ってどれぐらい食べられるものなのか調べてみたら、日本のフードファイターの小林尊さんが1分間で32個食べたらしいのだけど、殻を自分で剥く方式だと1分間で6個がギネス記録なのだそう。
そりゃ剥いてやるかどうかで揉めますよね。


後年のフルメタル・ジャケットなどでも描かれているように、「自己を失わせて従順にさせる」という点では軍隊も刑務所も変わらない。
ルークが元軍隊の人間だったという設定の意味はそこにあるのだと思った。

軍曹にまで昇進した男が一兵卒に降格して軍隊を去った経緯は細かくは分からない。
ただ、刑務所でのルークを見ているとなんとなく

「軍曹という立場でロボットのように下の人間を従わせること」

に、何かしらの違和感を感じたことを理由に反抗を起こしたんじゃないか、という気にさせられる。

もちろん戦地で行われてる行為に嫌気がさした点も大きかったのだろうけど、であれば軍曹になる前に抜けるチャンスはあっただろう。

軍隊にもシャバにも正しさを見出せなかった彼にとって、刑務所がいくらかの安息地になっていたようにも見えた。
なんたって、間違った正義で人をあやめる必要はない。道路の舗装や草刈りをしていればいいのだから。


ドラグラインにボコボコにされても立ち上がり続け、無理だと思われたゆで卵50個も全部食べきるという「不屈の精神」を見せ続けたルークが、二度目の脱獄の後に正常な判断が失われるまで行われた仕打ち。

その結果、とうとう「従う男」に変貌してしまった姿はショッキングでしたね。。


でも実は改心はしていなかった。
心は折れても芯だけは残していた。
本作を見て、今の時代の自分が学べるところはここだなぁと思った。

それはまさにルーク教。
彼の笑顔がドラグラインを筆頭に囚人の面々に一筋の光を与えていたことは、あの時代のアメリカのあの境遇に置かれている人間にとっては、最大限のハッピーエンドだったのかもしれない。
イスケ

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