フラハティ

暴力脱獄のフラハティのレビュー・感想・評価

暴力脱獄(1967年製作の映画)
5.0
素晴らしき名作。
オールタイムベスト入り!!

『ショーシャンクの空に』が参考にしたとも言われる作品。
脱獄映画ではあるが、その点がメインではない。

この映画が掲げるのは権力に対する反抗。アメリカンニューシネマの流れで生まれた作品であるため、作品自体が反抗的だ。
冒頭でパーキングメーターを壊すシーンがあり主人公ルークは刑務所に入れられる。
パーキングメーターは、駐車違反を金さえ払えば認めるといっているようであり、"矛盾した社会の象徴"と聞いて納得した。
ルークはこの時点で権力に反抗しているわけだ。

ルークは戦争の帰還兵であり、多くの人々を殺している。そのことについてあまり語られてはいないが、元軍人の居場所の不在という点にも触れている。


神の存在とは?に言及する要素もあり、神は何も語らず、まるで存在していないようなもの。
宗教的な要素も強いので、もう少し深読みできる作品でもある。


この映画について言えることはキャスティングの見事さ。
ポールニューマン演じるルークはまるで何を考えているかわからないようでありながら、彼の笑顔がすべてを語る。
ひとことでは語ることができない表情の魅力は、彼が出ている作品のなかでも群を抜いていると言っても過言ではない。
ベテラン囚人であるジョージケネディの演技も光る。
ルークについて語る彼の姿にはどこか嬉しさが溢れている。


権力に屈した囚人たちは、ただ日々を過ごす。権力者が牛耳っている社会では、誰もがそのもとに屈するしかないのか。
ルークをキリストに模したような描写があり、刑務所の仲間たちからすればルークは権力者たちに反抗する、神のようにも見えたんだろうか。

まるで男子校のようなノリのある刑務所は、犯罪者ばかりなのに楽しそうに見えてくる。
ゆで卵を1時間で50個食べるとかバカみたいなことしてるのも、男子校のノリ笑


邦題があまりにもひどく、内容と全くあっていない。タイトルから連想できるような内容ではないため、明らかに損している名作。
この邦題をつけた人は懲罰小屋行きだっ!!
フラハティ

フラハティ