マーくんパパ

なごり雪のマーくんパパのレビュー・感想・評価

なごり雪(2002年製作の映画)
3.7
フォークの名曲『なごり雪』には特別な思い入れがある。大学卒業し帰省する先輩を東京駅に見送り行った雪混じりの寒い春、これが年若い異性だったら正に伊勢正三の世界だなあ…と。この歌には百人百色の思い描く景色が頭の中にあると思う。それが場所も違う、汽車に乗る人物も違う設定で描かれてもちょっとなあ…という気分は否めない。『尾道3部作』等で遠く故郷で頑張る人たちに温かいエールを送る大林監督が今回は場所を大分県臼杵市に変え、大学卒業以来28年間故郷に足を踏み入れてない50才の三浦友和がかつて自分に想いを寄せていた友人の妻の見舞いに里帰りする。『なごり雪』という題名付いていなければそれなりにほろ苦い青春回顧映画として観られるが、如何んせん『なごり雪』の設定情景でないと初っ端から思ってしまっている事はご容赦願いたい。同級生のベンガルはイイ人過ぎ、三浦友和は都会に憧れ故郷も想い人も捨てていった薄情な男として映る。たまの帰省に恋人連れ帰ったり母の葬儀に恋人が親族席に座っていたりのデリカシーのなさは妻にも逃げられて当然のダメ人間に見えてしまうのは私だけでしょうか⁈ 故郷に残って恋しい人の帰りを待ち望む雪子は、どちらかというと太田裕美の『木綿のハンカチーフ』の世界観でしたね。