青山

シックス・センスの青山のレビュー・感想・評価

シックス・センス(1999年製作の映画)
4.5

3回目、観ました。
なぜか3回目で全部知ってても泣けるんですよね。


小児精神科医のマルコムは、以前患者であった青年・ヴィンセントに襲われ、自分が過去に失敗していたことを知る。
一年後。その件以来自信を無くし妻との会話も絶えていたマルコムの前に、コールという少年が現れる。ヴィンセントに似たコールを、今度は本当に救おうと決意するマルコムだったが、コールはとある"秘密"を抱えていて......。



劇場公開時、「結末は絶対に誰にもバラさないことっ!シャマランとのお約束だぞっ!」というテロップが冒頭に流れたことでも有名な、サプライズ映画の代名詞/金字塔/最高到達点とも言える大ヒット作です。要は天才。

とはいえ、現在ではこの作品の結末なんて観てない人でもみんな知ってるし、知らなくても別に目新しいものでもないでしょう。なんせ製作された時から前例なんてごまんと......とは言わないけど私の知る限りでも4、5本あるくらいですからね。
本作が本当にすごいのは、結末知ってても3回見ても楽しめること。

その理由は2つで、1つは伏線のうまさですよね。
オチを知っていて観ると、どの描写も「そこまでヒント出して大丈夫......?」というくらい綱渡り。でありながら、あまりにしれっと大胆にやってのけるから伏線としてのわざとらしい違和感はないのが凄いです。
そしてもう1つがドラマのうまさ。
幽霊が見える少年というテーマはホラーサスペンスですし、実際ホラーとしてのびっくり演出もけっこうあって何回かびびりましたが、それはいわばウワモノで、基幹の部分には主人公と少年が出会ってお互いに成長していくところにあります。
トラウマと秘密を抱えたマルコムとコール。医者のマルコムが一方的に少年を癒すのではなく、コールによってマルコムもまた立ち直っていくという関係性が素敵です。また幽霊というモチーフがコールの成長をそのまま表しているのも見事な演出ですね。

それから、これはシャマランの作品に通底していることですが、とにかく登場人物に注がれる優しい視線が本作の、またシャマランの最大の魅力と言って良いでしょう。
特に、人の死の描き方ですね。例えば『ハプニング』なんかでも、人々が突然自殺し始める光景は本当に恐ろしいものとして描いているし、その中で主要人物が死ぬ場面はさらっとしていても観客の中に悲しいものとして残るように演出している。そういう、死に対する恐怖や悲しさを真摯に描く姿勢がシャマランの作品の心地良さなんです。
本作でも、後半で登場する少女の霊の一件が象徴的で、ここからコールの死者に対する見方も変わってくるのが、つらいけど優しいシャマラン独自の視点なんですね。
そして、このシーンがあるからこそ結末もまた映えてくるわけで、地味ながらシンプルに誰もが感動できる演出が天才なんですよね。シャマランは天才。おい、誰だよツマランとか言ったやつ!


まぁ、そんなわけで、「ネタバレされたから見てない」っていう人も、ネタ知っててもちゃんと面白いから見てください。おしまい!
青山

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