鍋レモン

シックス・センスの鍋レモンのレビュー・感想・評価

シックス・センス(1999年製作の映画)
4.9
⚪概要とあらすじ
B・ウィリス主演のサスペンス・スリラー。

高名な精神科医のマルコムは、かつて担当していた患者の凶弾に倒れてしまう。リハビリを果たした彼は、複雑な症状を抱えた少年・コールの治療に取り掛かる事に。コールは常人には無い特殊な“第6感”――死者を見る事ができる能力――を持っていた。コールを治療しながら、彼によって自らの心も癒されていくマルコム。そして彼には予想もつかない真実が待ち受けていた...。

⚪キャッチコピーとセリフ
“歴代・新記録、樹立!”
“教えて...なぜ、僕だけが”

「Everyday.」

⚪感想
「シックスセンスみたい」と言うだけでもネタバレになってしまうほどどんでん返しが有名な作品。

私は観る前に父親にネタバレされていたけど映画そのものの物語として感動できて凄く面白い作品だと思う。

冒頭から観る人を引きつけるような展開。
幸せから一転。

M・ナイト・シャマラン監督の描き出す物語が大好きすぎる。監督自身がチョイ役で出演しているのが可愛い。
今作、『アンブレイカブル』では緊張を解すためとか何とかで『サイン』では結構キーパーソンみたいな感じで登場する。
スティーブン・キングとM・ナイト・シャマラン監督は似た素質がありそう。

ホラー要素にドキドキするところもあるけど、最後の方は心が温まり感動し、優しくなれる。

死者を見ることが出来る少年コールを演じたハーレイ・ジョエル・オスメント。演技力が高い。一つ一つの表情やセリフの感情。

マルコムを演じたブルース・ウィリス。『エクスペンダブルズ』のギャラ問題以降好きではないけど複雑な役を上手く演じていた。

赤色の演出が印象的だった。

幽霊と言うよりは死者。しかもそれは恐ろしいものではなくてこの世に何か未練を残して伝えたかったことのある人が存在している。恨みとか妬みとかではなくて「生きて欲しいとか」「愛してる」とか「誤解をときたいとか」。
ほとんどの人が亡くなった人に対して「あんなこと言わなければよかった」とか「あの時伝えていれば」っていう思いがあるだろうし、死者もまたそうなんだと思う。そういった部分を修復し繋げる役目をコールはシックスセンスという力で持っていたのかなと。

いつもボロボロ泣く。

ホラーではなくヒューマンドラマそして愛の物語。



⚪以下ネタバレ



どんでん返しが途中で分かってしまったからつまらないとか、ネタバレされていたから全く面白くなかったとあるだろうけど私はそうではなかった。個人的にこの映画の良さや中心となっているのはどんでん返しではなく贖罪からの絆の修復だと思った。
主人公は児童心理学者であったが自分の行いによってかつて担当していた患者から殺される。その贖罪かのように少年と親子のような関係を結び問題を解決していく。そうした中で、少年と母親との絆が修復され、さらにその母親と祖母の誤解も修復される。
物語の展開に驚かされながらも私が観ていたものは幽霊作品ではなくヒューマンドラマ作品だったのだと気付かされた。
『ユージュアル・サスペクツ』もただどんでん返しが面白いんじゃなくてそこに行き着く過程とそのシナリオが出来上がった理由に魅力が詰まっていたし。

実はお化けでした展開の作品はその後もいくつか出てきたけどこれほど完成していて泣けるものはないなって思う。

児童心理学者として子供をケアしてきたことが認められ喜びの中にいたマルコムと妻。しかしその夜に自分がかつて担当していた患者に撃たれる。そして翌年マルコムはコールという少年を担当することに。

知ってはいるものの完全脳内ではマルコムは怪我をしたけど翌年には仕事に復帰したと理解するよなって。ここで死んでるとは夢にも思わない。更にはマルコムがコールの家へ訪ねるけど自然に母親リンと話していた風に。また、マルコムの妻アンナが夫婦仲が険悪と言った形で話さなくなる。結婚記念日のディナーシーンは上手い。鍵がかかっているのか開かない部屋も見事。

メインではないんだけど幽霊の少女キラの話が切ないけど好き。幸せな家庭に見えて実は母親がスープに洗剤を入れていたという。
人形劇の撮影中に母の犯罪を映してしまうという演出が見事。元からの疑っていたわけじゃないのがより心を抉る。
母親は代理ミュンヒハウゼン症候群かな?

私が1番好きなのはコールがリンに車の中でお化けが見えることを話すシーン。
母と祖母の和解がとにかく泣けてしまって観る度に泣いてる。「私を誇りに思ってた?好愛していた?」みたいに聞いたら「毎日だよ」って。

死者は見たいものしか見えないとすることで複数のツッコミどころが解消される。強い。

⚪鑑賞
午後のロードショーで鑑賞。

⚪パンフレット所持
鍋レモン

鍋レモン