回想シーンでご飯3杯いける

あの星に君がいるの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

あの星に君がいる(2025年製作の映画)
4.0
近未来の美しい街並みを背景に描かれる男女の繋がりを描いた韓国アニメ。ビジュアル的には新海誠作品に近いが、登場人物が大人の男女である点が大きな違いだ。

少年少女の成長過程故の悩みではなく、大人になるまでの人生を経験してきたからこその挫折や葛藤が物語の柱になる。社会の中で活躍するのは宇宙飛行士として働く女性の側で、恋人の男性はミュージシャンを目指していた過去の記憶に縛られている。女性の方が外界と接点を保っている設定が、いかにも韓国映画らしい。

映像的には極端に美麗なディレクションではなく、基本的には恋愛映画としてしっかり作り込まれている。印象的なカットも実写映画の基本に忠実だ。そこに加わるのが、地球上と宇宙でアバターを通じて同じ空間を共有する技術。これ、実写ベースだときっとダサくなったと思うのだが、アニメなので嫌味が無い。

地球と火星を結ぶ心のつながりは「インターステラー」を思わせる部分もあり、予想外に見応えのある作品だ。音楽は韓国のミュージシャンに加え、イギリスのコールドプレイやフランスのM83等、国外の曲も挿入される。この辺りも、日本のアニメでは見かけない手法だ。