NaoMaru

Love LetterのNaoMaruのレビュー・感想・評価

Love Letter(1995年製作の映画)
3.8
岩井俊二 監督作品

何度も観てきた映画。思春期の心情はそのとき苦くても、いずれ爽やかな宝物になるのだろうか。レビューはNHKBSの録画を視聴してから書いた。あらためて画面の美しさ、脚本の巧みさ、俳優の演技力に感服。主演の中山美穂は一人二役をこなす。彼女の横顔は芸術的に美しい。容姿は髪型もほとんど変えず同じ顔で二役を演じるのはどうなのか、と実はずっと思っていた。だが、意味はあったんだと今更ながら気がついた。

登場人物は、現在の神戸に住む渡辺博子役と、小樽に住む藤井樹(いつき)役の二役が中山美穂。現在の渡辺博子の恋人役は関西弁がいい意味で気になる豊川悦司。さかのぼって小樽の高校時代、藤井樹役(女性)が初々しい酒井美紀で、同姓同名の藤井樹役(男性)が凛々しい柏原崇とややこしい。男性の藤井樹は引っ越しして神戸に行き、大学時代から付き合うのが渡辺博子である。神戸の藤井樹(男性)は画面に登場しない。冬山登山で遭難して亡くなり、2年後3回忌の法事から映画は始まる。


【ネタバレ含む】
感動ポイントは、中山美穂の一人二役があってこそ成り立つ。二人は似ている程度ではなく、高校時代からソックリでなければならないからである。終盤になって、時を超えて発見された高校時代の図書室の本「失われた時を求めて」の貸出カードが重要な意味をもつ。それは懐かしさという郷愁感より、当時の純粋な想いがそのまま胸に突き刺さる。恋の感覚が甦えるのを感じた。気持ちは時を超えて伝えることができる。たとえ亡くなっていたとしても。
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