やま

Love Letterのやまのレビュー・感想・評価

Love Letter(1995年製作の映画)
4.5
ずるい。こんなにも映画らしい妄想を考えられる彼の頭の中がずるい。そう思えてならない。あまりにも、青春なんだ。その時彼女にとって、いい思い出はなかったかもしれない。でもあまりにも青春なんだ。

あてもなく彼の故郷に手紙を送ってそこからドラマが生まれる。やっぱり、自分は映画にしかない映画な恋がとても好きなのだと確信した。そして普通ではありえない映画らしい展開がこの映画には溢れてる。彼女が倒れた時のおじいちゃんのシーンであったり、手紙もそう、あまりにも映画なんだ。一番良かったシーンは、テストの答案用紙を自転車の灯りで見るシーン。「暗い、見えない」と無茶苦茶な言い分で怒る彼、それに応じる彼女。たまらねえ。
もちろん、図書室のくだりもめちゃくちゃ好き。

いまいちばんいいとこなんだからみとけぇというセリフも好き。まるで観客に言うようなセリフ。タランティーノの「イングロリアスバスターズ」のラストが自分にとってかなり印象的なんだけど、こういう上手く使えているセリフがとても好き。

間違いなく、いい雰囲気が作り上げられている要因の一つには、篠田昇さんの存在も必ずある。あんなモヤモヤとした空気感。どんなフィルターを使って、あの青春感を作り出してるのか。聞きたいことが山ほどある。

彼女に似ているという理由で一目惚れされ、プロポーズも自分でする羽目になった彼女。彼にとって、渡辺博子はどんな存在だったのか。それを考え込む彼女が、「お元気ですか」と叫ぶシーン。考えさせられる。
そして、過去に恋があったと知る藤井樹。
この完結できない恋がたまらなく心地良かった。

二人の藤井樹、渡辺博子、そして昔の彼にまだ恋してると分かる秋葉の存在。さらには、秋葉に恋する女性もいた。それぞれの思いを考えてしまう。

やっぱり岩井俊二最高だ。頭の中ある意味変態的すぎる。
やま

やま