Osamu

Love LetterのOsamuのネタバレレビュー・内容・結末

Love Letter(1995年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

人が人を思う美しさが描かれている。

死んだあの人が昔住んでいた、今は国道になった住所に宛てて手紙を書く。届かないはずだった手紙の返事が来る。おかしいと思いながらも手紙の交換が続く。この美しい設定に惹きつけられた。

中山美穂の映画だ。雪の上に寝転ぶ姿、お墓に手を合わせる姿、腕の内側にメモを書く姿、挙げ出したらキリがない。どれもが美しい。

神戸と小樽での手紙のやり取りに感じる違和感が絶妙で心地良い。その違和感の正体は何だろうか。時間のねじれではないか。神戸の「現在の私」は小樽の「未来の私」と通信しているように見えるのだ。

あの人を忘れなければいけない私にとって、アイツを忘れていたアノコは未来の私なのだ。

この解釈が正しいなら、中山美穂の一人二役は絶妙の演出だ。彼女のファンにとって一粒で二度おいしい効果があるだけではない。

映像も美しい。特に冒頭の、丘の上から下って行く長回しがいい。

このシーンは神戸の設定だが、撮影は小樽のようだ。本作の公開は1995年3月。阪神淡路大震災の2ヶ月後だ。神戸という設定は後付けなのではないかと邪推してしまう。大切な人を突然亡くした人々を意識して設定を変えたのではないか、と。
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