FumiyaIwashina

幸せへのキセキのFumiyaIwashinaのレビュー・感想・評価

幸せへのキセキ(2011年製作の映画)
3.7
尻上がりに良くなっていく作品。原題のとおり、妻を亡くしたベンジャミンと彼の子どもたちは、新しい家を探すが、なかなか良い新居が見つからず、最終的に決めたのは閉園した動物園付の家。家族はそこで新しい暮らしを始め、元オーナーの遺産で働いているスタッフたちとともに再オープンを目指す。
全体のストーリーからして、心にぽっかり穴の空いた人間が街から離れた動物園で暮らすという少し都合の良い雰囲気だけの映画のようであるが、実際にモチーフになった動物園があるというのは説得力を与えている。
個人的に動物園は好きなため、もっと動物たちに焦点を当てたり、オープンしてからの来場者を増やす経営者的な視点がもっと欲しかった。ただ、この作品はオープンするまでがメインなため、そこにたどり着くまでの人間ドラマが見応えある。シガーロスの音楽や、美しい映像などひとつひとつの要素も丁寧に作り込まれている。
ディランが美味しいところを持っていっている気がするが、やはり親子がぶつかりあってわかりあってからの展開が素晴らしい。最後の子どもに夫婦の馴れ初めを語るシーンは鳥肌もの。