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The Message(英題)のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

The Message(英題)(2025年製作の映画)
2.0
【わたし、動物と話せるよ】
第75回ベルリン国際映画祭はどうも不作らしく、これといって傑作に巡り合うことができない。今注目のアルゼンチン映画枠からの出品『The Message』を観たのだが、ヒューマントラストシネマやシネスイッチ銀座あたりで上映されそうなロードムービーではあるものの、どこかぼんやりとした映画であった。

本作は動物と交信できる少女と彼女をビジネスとして利用する祖父母によるロードムービー。直近の作品では移動式映画館を営む娘と父親の関係を描いたロシア映画『グレース』に近い内容であり、ロードムービー特有の「どこへでもいける」要素が親子関係になると子は「どこにもいけない」存在になりえる様を強調している。確かに、裸の少女を放置するネグレクト的な場面があり、牧歌的な質感の中でそれが飛び出す怖さはあったものの、どこか薄ぼんやりとした映画となっている。折角、抑圧された子どもを超能力×ロードムービーといったフィクションならではのアプローチで掬い上げようとしているのに勿体ない映画だなと思った。
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