きょんちゃみ

ジュマンジのきょんちゃみのレビュー・感想・評価

ジュマンジ(1995年製作の映画)
5.0
この1996年の映画『ジュマンジ』は、私にとって理想的な映画のうちのひとつだ。本当に素晴らしい映画だ。とても上品だし、映画的な快楽が中にぎっしり詰まっている宝箱みたいな映画。

しかも、主演が最高の俳優ロビン・ウィリアムズの時点で既に満点だし、少女の頃のキルスティン・ダンストも出ている。演技も素晴らしい。登場人物の誰もが愛らしい。とくに黒人警官のカールは私のお気に入りの人物であり、本当に彼のことが好きで好きでたまらない。パリッシュの靴工場でスニーカーを発明しているシーンのカールのナイスガイ感たるや筆舌に尽くしがたいのである。登場の瞬間から私はカール・ベントレーさんに恋をしていた。脚本も、いたるところでユーモアに溢れているし、心がほっこりと暖まる。

『ジュマンジ』は、父子のなにげない会話が、そして子には父がいて、父には子がいることが、どれほど嬉しいことなのか、父にいつでも会えて、話しかけることが今ならばできるという、たったこれだけのことが、どれほど素晴らしいことなのかを最後に気づかせてくれる映画なのだ。それを「ジュマンジ」というボードゲームが教えてくれるのだ。ゲームをプレイする中で絆が育まれていくのだ。(最後のシーンで、フランス人の少女たちの歩く浜辺にジュマンジが流れ着くラストカットは見事過ぎて、拍手をしてしまうほどかっこいい。ドラムロールで映画が終わる切れ味も全く最高である。)

『ジュマンジ』が好き!と屈託なく言うと、「子どもっぽい」とか、「ダサい」とか思う人もいるかもしれないが、そういう半笑いでシニカルな人は非常に子どもっぽいなと私は思う。実はこの映画を見ていないのではないかとさえ疑ってしまう。

これほど優しくて、綿密に考えられていて、ワクワクして、単なる子供騙しではまったくないし、お洒落でカワイイ映画はなかなか無いと思う。

『ジュマンジ』は幼稚だ、などと言ってしまう非常に幼稚な人間にだけはなりたくない。これほど奥ゆかしい映画は珍しい。どの辺が奥ゆかしいのかと言えば、たとえば、ジュマンジ内のハンターであるヴァン・ベルトと、アラン・パリッシュの父であるサミュエル・パリッシュは同じ役者(ジョナサン・ハイド)が演じているのだ。つまり、言葉による説明をくどくどするのではない仕方で、このジュマンジというボードゲームによって生じる怪現象は、実はプレイヤーの潜在意識の中にある恐怖やコンプレックス(たとえばアランの場合は父親)の具現化であることを示しているのだ。なんたる奥ゆかしさだろうか。映像表現としてレベルが高過ぎる。

この映画をアメリカのバカ映画の群れのひとつだと思っているやつらの低評価からどうにか救い出したい。どうか皆さん、見てください。私は、こういう優しくて丁寧で知的な映画が大好きです。いまだ発展途上のCG技術の作り物感なども含めて、それら全てにワクワクします。様々なシーンに潜められている製作者の遊び心に微笑みがこぼれます。

しかもこの映画、アマゾンプライムビデオで無料で観れるし、しかも今見ておけば、2020年2月現在、映画館で公開中の『ジュマンジ』の最新作も楽しめるわけで、一石二鳥なわけです。ぜひ見てみてください。それでは。
きょんちゃみ

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