ミステリ的な話かと思ったら違った。
これはある種のSF・・・?
長野の松本に暮らしている水上恒司と山下美月の夫婦のもとへ、戦死した大伯父の従軍手帳が、パプアニューギニアで見つかったと連絡が入る。
手帳には戦死する直前までの日記が書かれていて、ジャングルの中でヒクイドリと遭遇したこと、ヒクイドリを食べたいという記述があった。
ところが、立ち会っていた山下美月の弟の様子がおかしくなり、なぜか日記の最後に「ヒクイドリヲクウ ビミナリ」と書き加えてしまう。
それ以来、主人公夫婦の周りで、奇妙な出来事が頻発する様になる。
手帳には生きたいという大伯父の強い思念が残っていて、影響された弟がヒクイドリを喰ったという、架空の未来を書き加えたことで、大伯父が戦死しなかったという世界線が生まれ、現実世界を侵蝕し始めるんだな。
あんまり似た映画を思いつかないんだが、とりあえず誰に向けた企画なのかサッパリ分からない。
ストーリーテリングが荒っぽく、世界線の理屈は何となく分かるけど、実際の描写はなんでそうなるの?と言う部分が目立つのが残念。
主人公は化学の助教なんだが、以前は天文台へ就職を考えていた設定。
既に答えが決まっている世界から、未知の要素が多い世界へのシフトが、内容を象徴するんだろうけど、物語の本当の起点が途中から出てくるキーパーソンの、もの凄く俗物的欲求ではねえ。
あとこのキーパーソンを演じてる人のお芝居が・・・・
これはたぶん、小説で読んだらもっとスッと入ってくるのだろう。
色々チグハグさを感じさせ、端的に言って凡作。