この国で生活している以上、地震や津波に対しての脅威は痛いほど身に染みているけど、巨大竜巻への解像度がほぼ無理解に近かったんだなと自覚した。強力な暴風雨でたやすく身体が宙に吹き上げられる感覚、吹き荒れる土壌の細菌から傷跡に感染して感染症に陥る関連被害、真剣に想像したことが今まで何回あっただろうか。
2011年5月にアメリカ、ミズーリ州南西部ジョプリンで発生したEF5スケール(時速322キロ以上の猛烈な風が3秒続く)竜巻が市街地を直撃し、ほんの数分で町は壊滅状態となった。この竜巻による死者は162人、倒壊家屋は8400棟以上にのぼる。竜巻が破壊した範囲は幅約1.6キロ、長さ約9.6キロ。単一都市としての犠牲者数としては最悪の数値である。これにより連邦政府は緊急事態宣言を行い、赤十字は全米に募金を呼びかけるなどした。
その日のジョプリンでは高校の卒業式が行われていた。生死を分つ災害に見舞われた若者たちの視点で振り返る。