マークス

恋と愛の測り方のマークスのレビュー・感想・評価

恋と愛の測り方(2011年製作の映画)
2.5
凄く長文です。
原題(LAST NIGHT)。
とある昨夜の出来事を描いた、胸糞悪い不倫(恋愛)映画。
結婚3年目、子供のいない比較的若い夫婦に起こった『ある一夜の出来事』。
その出来事を通して、恋とは何なのか、愛とは何なのか、恋と愛はどう違うのか、と言う事を問いかける映画。

主な登場人物は、夫マイケル、その不倫相手のローラ、妻ジョアンナ、その不倫相手のアレックスの四人。
鑑賞して思ったのは次の点だ。
大学時代から恋人同士だったマイケルとジョアンナは、互いに相手に対して愛情を持っているが、ウキウキするような恋心は消えている。
ローラは恋では無く、誰かを深く愛して愛されたい。
アレックスには愛は無い、あるのは恋だけ。

マイケルは、妻への罪悪感を抱きながらローラと寝た。
ジョアンナは、夫への罪悪感を抱きたく無いのでアレックスと寝なかった。
ローラは、誰かを愛したかったのでマイケルと寝たが、マイケルの愛は得られなかった。
恋人のいるアレックスは、恋という遊びでジョアンナと寝たかったが、拒否された。

結果。
マイケルは妻ジョアンナに罪悪感を抱いた。
ジョアンナはアレックスとの恋に失恋した。
ローラはマイケルの気持ちを知り、マイケルを諦めた。
アレックスはジョアンナに振られ、面白くない。

これらは男女の差と言うよりも、個人の性格の差だろう。
ジョアンナは、夫が既にローラと浮気をしていると完全に勘違いしていた。
だから、アレックスからの誘いに乗ってデートに出かけた。
そして濃厚なキスまでは、一切の罪悪感を抱いていなかった。
ただSEXをすれば夫との関係が壊れると思っていたので、それは避けた。
アレックスの友人が『人間は、外見は変わっても、中身は決して変わらない』とジョアンナに言うシーンがある。
正に『アレックスの中身は変わらない』という事を暗示している。
事実、アレックスは結婚をしたがらない性格の上、恋人がいるのに既婚者のジョアンナと浮気をしたがるような性格だ。
ジョアンナにとってアレックスは、夫マイケルとは違い『上手く行かない』相手だ。
その事をよく分かっているから、ジョアンナはキス以上の事を避けた。
アレックスへ深入りしても自分には何の得も無いからだ。
寧ろ、失うものが大き過ぎるからだ。
ただ、失恋はした。
だから失恋の涙を流した。

問題はジョアンナが、夫にその涙を見られ、脱ぎ捨てたおしゃれな靴や、普段付けないおしゃれな下着を見られた事だ。
夫は妻の不倫に気づいた。
あとは夫がどう反応するかだが、自身がSEXをしている以上、妻もSEXをしたと思うだろう。
妻の釈明は一切聞かないだろう。
痛い結末が待っていた。
多分、この夫婦は終わりだろう。
猜疑心が猜疑心を呼び、疑惑が疑惑を呼ぶ。
修復は不可能に近い。

本気で相手が大切なら、浮気(恋)など浮ついた事はしない事だ。
妻や夫、彼女や彼氏。
それ以外の異性にときめく事はあるだろう。
でも想うだけで、一切愚かな行動を起こさない事だ。
そうでないと、最後には結婚生活や恋愛関係に破綻が生じる。
『愛ではなく、恋から生じる不貞や不実は、結局は全てを失わす』。
この映画はラスト数分のシーンで、その事を観客に伝えているように思えた。
マークス

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