ノラネコの呑んで観るシネマ

ワン・バトル・アフター・アナザーのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

5.0
全く先の読めない、めちゃくちゃ面白いスクリューボール・アドベンチャー。
極左革命集団「フレンチ75」のレオナルド・デカプリオは、メンバーのテアナ・テイラーと恋に落ち、やがて娘が生まれる。
だがある事件でフレンチ75は壊滅。
テイラーは何処かへ姿を消し、残されたデカプリオと娘は、名前を変えてメキシコ人移民の街・バクタン・クロスへ潜伏する。
ところが16年後、白人至上主義者でありながら、黒人女性に異常な性的興奮を覚える軍高官のショーン・ペンが、テイラーの娘が実は自分との子である可能性に気づく。
白人至上主義の秘密結社「クリスマスの冒険クラブ」への入会を控えているペンは、不都合な真実を葬るべく、権力を総動員して存在しない事件をでっちあげ、バクタン・クロスへと配下の部隊を送り込むんだな。
タイトル通り、一つの戦いが次の戦いの火種となるエンドレスゲーム。
当然ながら、映画の制作自体は第二期トランプ政権発足のだいぶ前から行われていたのだが、内容的には見事に現在のアメリカのメタファーとなっている先見の目はさすがPTA。
ともにふざけた名前の極左も極右も、どっちもイカれているんだけど、悍ましさはダントツで後者が際立つ。
自己顕示欲の強い愚か者に権力を委ねると、何が起こるのかがよく分かる激辛寓話。
162分ギュッと詰まったストーリーの密度も凄いが、PTAの演出もキレキレ。
全編に渡って、未見性溢れる見せ場が連続する。
クライマックスの三つ巴のカーチェイスは、望遠レンズの圧縮効果を活かした演出が圧巻で、まるでジェットコースターに乗っているよう。
社会性と娯楽性が、非常に高いレベルで融合した傑作だ。
ブログ記事:ワン・バトル・アフター・アナザー・・・・・評価額1800円
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