とにかくジャン=ピエール・レオを存分に堪能できる作品!
(あとポルシェも)
当時すでにヌーヴェルヴァーグのアイコンになってた彼だけど、トリュフォーやゴダール作品の繊細でちょっと気弱なキャラクターのイメージとはまた違って、コミカルな才能がこれでもかっていうくらい発揮されてる。
やんちゃだしおふざけするし、、でもそれがハズシの美学でたまらなくカッコよくて、どちらかというとベルモンド風味なレオ。
カーレースに出たくて大好きなポルシェを手に入れようとする彼の行動はリアリティのかけらもなく、もうはちゃめちゃ。
そしてナンセンスで能天気なドタバタユーモアには訳もなくニンマリしちゃう。
彼女と姿見を運ぶシーンが好きだなぁ。
その一方、スピーディーなポルシェの疾走、ジャズ、コントラストの強いモノクロ映像なんかが痺れるくらいスタイリッシュで『死刑台のエレベーター』を彷彿とさせる。
そしてコメディといいつつ、シャンソンの歌詞も手伝って遠目に観たらどこかメランコリックで青春の悲哀みたいなものも感じた。
無邪気さが消えるラストはまさに「出発」。