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スリ(掏摸)のsonozyのレビュー・感想・評価

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)
4.0
1959年、ロベール・ブレッソン脚本・監督作。
撮影は『抵抗(レジスタンス)死刑囚の手記より』のレオンス・アンリ・ビュレル。
ドストエフスキーの『罪と罰』にインスパイアされた作品と言われていますが、『罪と罰』読んでない・・・

冒頭に出てくる説明
「本作は刑事物ではない。映像と音である青年の悪夢の表現を試みている。
彼は自分の弱さに負けスリという冒険を行う。
この冒険が奇妙な道筋を経て結びつける二つの魂は、この冒険なくして出会う事はなかった。」

仕事のない青年ミシェルが、スリにハマっていく物語。

ボロい小部屋に暮すミシェルは、生活のために競馬場でスリを始めるが当日逮捕されてしまう。
だが、証拠不十分ですぐに釈放される。(この時の刑事が後々出てきます。)

友人ジャックの心配や、刑事の疑惑の目をかわしながらスリの技を磨くミシェル。
ジャックと刑事の前で「有能な人間には特権があり、時には法を犯す自由もある」と語る。
(なんと直前に見たヒッチコックの『ロープ』と同じ超人思想でした。)

更に2人のスリ仲間と組み、ときに後ろ手で、ときに新聞紙に隠し、連携プレーで相手の財布や時計を掠め取り、成果を上げる。

そんな彼が出会うのが、たまたま重病の母が暮らすアパートの階下に住んでいて面倒を見てくれているジャンヌ。
ミシェルはロクに母の様子を見にも来ないヒドい奴なんですが、その母も亡くなります。

その後、あれこれあって、最後はジャンヌのために足を洗おうと決意するミシェルだが・・・

ブレッソン監督作の特長で、出演者のほとんどは素人。
ミシェル(マルタン・ラサール)は演出見習いをしていた映画青年、ジャック(ピエール・レマリー)は医学生、刑事(ジャン・ペレグリ)は作家/大学教授だそう。
そして、美しいジャンヌ(マリカ・グリーン)は本作によって映画女優の道に入ったいう。

ミシェルにスリ技を伝授したのは実際の元スリだそうで、手のクローズアップによるスリ技はスリリング!
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