フランス映画界の重鎮、ロベール・ブレッソンが美を持って描き出す男の生き様、『掏摸(スリ)』(1960)を鑑賞しました!
ゴダールやトリュフォー作品にも多く見られる、フランス古典映画の醍醐味とも言える耽美的な詩が個人的に好みで、この作品もその深い味わいを堪能しました。
主人公の男はスリをはたらく悪党なのですが、彼が決して金品の営利を目的にそれをしている訳ではないと言うのがこの作品の面白いところです。彼は自身のアイデンティティをスリに見出しただけであって、「他の事があるなら何だって良かった」と言うはず。
また、洗練されたスリの技術は、観ていて非常に完成された様式美さえ感じました。逮捕されるか否かの危険な香りに痺れます。
マイナーかも知れませんが、この男の壮大な「回り道」は必見です…!