恭介

マネーボールの恭介のレビュー・感想・評価

マネーボール(2011年製作の映画)
3.9
野球を知らないから面白さが
分からないかも、ってだけで
見逃してたら勿体ない映画。

日本の野球界以上にアメリカの
メジャーリーグは過酷で残酷だ。

残酷って言葉は適切ではないなー。
超実力主義?かなりシビアな世界。

日本は殆どの選手は1年間のシーズンを
通しての結果で、来年もそのチームで
プレイできるかどうかが判断されるが
メジャーリーグは、シーズン途中でも
容赦なく、君は明日から来なくていい
とか、明日から◯◯チームに行って
くれ、とか言い渡される。

選手たちが見えないところで
チームの運営を任されているGMが
他のチームのGMと

ウチの◯◯という選手と、そちらの
◯◯という選手を交換しないか?

みたいな、まるで人身売買(笑)のような
会話が日常的に行われている。

お金のあるチームは成績のいい選手を
高い年俸で揃える事が出来るが
大半のチームはそうではない。

そこで!
本作の主人公、ブラピ扮する実在の
GMが業界の常識を打ち破るチーム編成を
行って、見事に優勝に導いた偉業を
映画化したのが本作。

難しい専門用語はおいといて・・
要は選手の実績を全て細かく数値化し
それぞれの得意分野を集結させて
チームの力を底上げする。

こいつはホームランは打てないが
四球での出塁率が高い。

こいつは守備はイマイチだが
ホームランが打てる。

このピッチャーは長いイニングは
無理だが、短いイニングなら
あまり打たれない。

などなど。
それが全て勘や雰囲気ではなく
過去の実績から得た数値で
データ化しているからこそ得られる情報だ。

それぞれ超一流とはいかない
までも、何処か秀でたトコがある。
そんな適材適所な選手を集め、全員で
戦うという戦術。

そんな選手だから、もちろん皆んな
年俸は格安だ。
経費を抑えていい買い物をして
無駄なく活用していく。

そんな手法をブラピに教えてサポートする
のがジョナ・ヒル。
彼とブラピの凸凹コンビぶりが
観ていて微笑ましい。

何処の世界でも、革新的な事や
突拍子もない事を考えたり実行する
時は、物凄い反発や反感を招く。

出る杭は打たれる、だ。

本作のGMも業界からも、自分の
チームの選手や監督からですら理解
されず、徐々に孤立していく。

それらを跳ね除け、自分を信じて
根気強く実行していく姿には
じんわりと心に響く何かがある。

要はプロジェクトXを観た時の
感動を味わえるのが本作だ(笑)
オープニングとエンディングに
中島みゆきの歌が似合う映画だ。

最初はボロボロのチーム成績だったのが
長いメジャーリーグの歴史において
過去最長となる20連勝という偉業を
成し遂げた瞬間は込み上げるモノがある。

しかし
それでも優勝は出来なかった。

ジョナ・ヒルがブラピに
20連勝したチームを作りあげたんですよ?
と言う。

ブラピは答える。
最後の最後に負けて優勝出来なければ
何の意味もない。

優勝する為に俺はここに居る。
勝てなければ全て俺が悪い。

何かを成し遂げる人は
他人にもシビアだが自分にはもっと
シビアだ。

最終目的の過程では一喜一憂しない。

本作で自然体に演技する
ブラピはかなりいい味を出している。
ドラマ系の映画では、本作のブラピが
一番好きだ。

また、ジョナ・ヒルの飄々とした
演技やフィリップ・シーモア・ホフマンや
爆売れする前のクリス・プラットなど
脇を固める役者さんもいい。

野球の知識がなくても
爽やかな感動を味わえると思うので
未見の方はぜひ。
恭介

恭介