ひろ

マネーボールのひろのレビュー・感想・評価

マネーボール(2011年製作の映画)
3.4
マイケル・ルイスによる「マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男」を原作とし、ベネット・ミラー監督が映画化した2011年のアメリカ映画

子供の頃から金持ちチームが嫌いだった。金にものを言わせてチームを強くすることに、なんの美しさもないと思っていた。読売ジャイアンツ、ニューヨーク・ヤンキース、レアル・マドリードといったチームに興味を引かれることはなかった。だからこそ、こういう貧乏球団の再生の物語が好きなのだ。こういうはツボだ。

ただ、チームを強くするためのセイバーメトリクスという方法が、選手の個性でなく、統計を重要視した分析方法だから複雑だ。なんだか血が通ってない非常な手段のように聞こえる。しかし、それを扱うビリー・ビーンやピーター・ブランドのチームへの思いを感じたら、そんな考えはどこかに行ってしまう。

伝説の20連勝といい、作品内に実際の試合シーンが多く使われている。撮影した試合シーンなどは、違和感のないように、野球経験者などが俳優を務めるという用意周到さだ。試合シーンを楽しむ映画ではなく、裏方の苦労を垣間見る映画だが、やはり野球を知っている方が楽しめる作品だと思う。

最近は落ち着いた役もこなすブラッド・ピットが、実在のアスレチックスのGMであるビリー・ビーンを演じた。GMの苦悩を表現できていたと思う。コメディ映画でお馴染みのジョナ・ヒルが、真面目な役柄だったのは新鮮だった。フィリップ・シーモア・ホフマンはアスレチックスの監督を演じてたけど、あれは誰でもよかったような気がする。名優の無駄遣いだ。

アスレチックスというチームの再生を描くと同時に、ビリー・ビーンという人物の再生をも描いているから深みがある。イチローも映っているし、メジャーリーグが好きなら、より楽しむことができるはずだ。野球に詳しくない人も、メジャーリーグの裏側を観れるから楽しいんじゃないかな。
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