個人的にスポーツには全く興味が無いため試合の詳しい話を持ち出されるより、普段知る機会もない裏方のGMという職業について触れているこの作品は非常に観やすかった。ただの根性論ではなくきちんと理論的に統計で割り出した数値を元にチームの再建をしていく様が何とも面白い。急に試合に勝ち始めたのは展開が早すぎてやや置いてけぼりにされた感が否めなかったが。
プロに選ばれるその瞬間は未来への希望に満ち溢れているだろうが、やはり全ての人が通用するわけもないのが現実。ビリーも例外なくそのひとりだった訳で。そんな彼が頑なに試合を見ようとしない姿勢が過去の自分に背を向けているようで物悲しく思えた。
娘からの心のこもったＣＤで思わずこちらまで涙腺が緩んだ。
｢もっと野球を楽しんでいいのよ｣
それはきっと忙しない毎日の中でビリーが忘れかけていたであろう単純なこと。
あのシーンで締めるこの終わり方は狡い。
