旅するランナー

世界最速のインディアンの旅するランナーのレビュー・感想・評価

世界最速のインディアン(2005年製作の映画)
4.4
【世界最愛のスピード狂じいさん】

1960年代、ニュージーランド人バート・マンロー(67歳)がオートバイ世界最速記録を樹立する姿が描かれます。
当時でもアンティークな見た目フラフラ不安定な車体に、自ら製作したパーツを装備し、ブレーキなしでブッ飛ばす姿にドキドキワクワクします。
この愛車インディアン号と共に、大会出場のため、遥か米国ユタ州ボンネビル・ソルトフラッツまでワザワザ旅する、ロードムービーでもあります。

時速300kmを超える世界。
新幹線の先端に、素っ裸で縛り付けられるような感覚です。
お~怖。
このじいさん、完全に狂ってます。
飛び抜けた狂人をやらせたら右に出る者がいない、アンソニー・ホプキンスにピッタリはまり役です。

そして、このハッスルじいさんが、
・危険は人生のスパイスみたいなもんだ。
・人間の一生は草に似ている、春が来ると元気に伸びて中年を迎えて実り、秋風が吹くと枯れ尽きてもう生き返らない、死んだらそれで終わり。
・他の奴らにできないデカいことをするのが夢だった。
なんていう名言をボコボコ発するのです。

世界最速記録という大いなる夢に、自分のやり方をひたすら信じて、一目散にズドーンと突き進み、今を一生懸命バリバリ生きる男の姿が愛おしい。
出会う人々に愛され、スピードの神様にも愛され、この映画を観る人にも愛される、そんな世界最愛のじいさんを夜露死苦!