ノッチ

女ドラキュラのノッチのレビュー・感想・評価

女ドラキュラ(1936年製作の映画)
3.0
ドラキュラを葬った直後、ヴァン・ヘルシングは逮捕される。

その後、ドラキュラ伯爵の娘が現れ、父の呪縛に苦しみながらも、彼女は生き血を求めてしまうのだった。

ブラム・ストーカー作の『ドラキュラの客』の映画化で、『魔人ドラキュラ』の続編。

ドラキュラ伯爵の娘が人間になりたいと色々やる話。

ホラーというより、吸血鬼の葛藤を描いたような内容ですね。

主演のグロリア・ホールデンは舞台女優らしく、熱演してくれます。

また、ヒロイン役のマルグリート・チャーチルは同年に『歩く死骸(1936)』にも出演している。

この映画、『ドラキュラの客』を原作とするとは言うものの、殆ど原型を留めておらず、事実上ユニバーサル・オリジナルの脚本である。

しかもあまりポピュラーではないし。

また、続編と言われるが、この当時は「シリーズ」というものの概念が希薄だったのか、前作とは一貫性が無い箇所が多々ある。

続編というよりは、「まったく違う物語」と解釈したほうが自然と言えば自然。

しかし、『女ドラキュラ』という身も蓋もない邦題が付けられていますが、中身は結構しっかりしている。

でも、オリジナルタイトルの和訳、『ドラキュラの娘』の方が良かったんじゃ…。

ストーリーは、ヴァン・ヘルシング教授がドラキュラ伯爵を倒した前作のラストの直後から始まる。

殺人の現行犯で即お縄を食らうのは、さすがにヴァン・ヘルシングが可哀想だった。

というか無実を証明してくれる人は沢山いるのでは?

前作の人は何処に?

この作品はドラキュラ伯爵は登場せず、ドラキュラ伯爵の娘が主役として登場する。

吸血鬼の呪いから自由になろうと欲するという、全体として野暮ったい昼メロのような感じは否めない。

しかし、吸血シーンの直接描写などは皆無だが、雰囲気だけで見せるのが素晴らしい。

なんとも切ない悲恋ストーリーと、軽妙なコメディパートのブレンド具合がけっこう良かった。

ちなみに、舞台は大部分がロンドンで繰りひろげられ、1時間ほどしてやっとトランシルヴァニアに移ります。
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