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西遊記のmitakosamaのレビュー・感想・評価

西遊記(1960年製作の映画)
3.6
手塚治虫を迎えての作品だが、やっぱり手塚と東映動画は相性が悪いのだなぁという印象。というか東映動画のスタッフが手塚をあまり良く思っていないのがヒシと伝わるわ。

手塚の「ぼくのそんごくう」の映画化がスタートだったらしいが、最終的には東映のオリジナルに。キャラクターデザインも当初は手塚が原案を出したけど、東映側でだいぶリライトしたらしい。
手塚テイストはニュアンスだけちょこっとある感じ。
ただ所々のナンセンスギャグなんかはむしろ手塚っぽい。天界に西洋の神様と東洋の神様が共存してたりとか、猪八戒がタキシードやフラなど各国の衣装をきてたりとか、中国の古典に多国籍なネタをいれるなんていかにも。

ストーリーは極めてシンプルな西遊記。元気なお猿が仙人に弟子入りし妖術を会得。孫悟空を名乗る。暴れ者でお釈迦様に五行山に閉じ込められる。
三蔵法師と共に天竺へ。猪八戒・沙悟浄を仲間に。銀閣金閣・牛魔王を倒し天竺へ。故郷へ帰る悟空。

けっこう序盤に時間かけてる。映画だと五行山のシーンから始まることが多いのに。お陰で三蔵との旅はかなりテンポがいい。

大きなアレンジに、悟空を思う娘猿のリンリンがオリジナルキャラとして出てくる。大きな花を頭につけた妙に色っぽいモンキーだ。
またリンリンがだめんず好きなんだ!もう悟空との関係が寛一お宮だよ。
どんなに邪険にされても悟空に尽くすリンリン。リアルなら確実に幸せななれないタイプのオンナだ。
あと牛魔王の手下に小竜って小鬼が出てくる。カワイイ。

アニメはとにかくヌルヌル動く。ディズニーを意識しながらも東洋独自の作品作りを目指した東映動画と手塚。それでも双方の方向性に違いがあって両立は難しかったんだなぁ。
翌年手塚は虫プロ設立する。それを踏まえて見るとさらに感慨深い。
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