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男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花のMiYAのレビュー・感想・評価

4.0
全48作中の25作目ということでここから後半がスタート。奇しくもにマドンナはリリー(浅丘ルリ子)。忘れがたい作品になりました。

憎まれ口を叩き合いながらも相性の良さを隠せない2人のやりとりは相変わらず絶品。15作目の「寅次郎相合傘」でリリーが「結婚してもいい」と言ったときが寅さんの恋愛成就に最も近付いた瞬間だと思ったわけですが、今回はさらに決定的な瞬間が。

リリーが「私たちが夫婦だったら・・」の言葉に、寅さんは「お互い所帯を持つ柄かよ」と混ぜ返してしまう。その後、「俺と所帯を持つか」という寅さんの一世一代のセリフにも、やはりリリーは冗談として聞き流してしまう。似た者同士の2人の心はやはり最後の最後ですれ違ってしまう。

「私たち夢を見てたのよ、あんまり暑いからさ」というリリーのセリフが胸を打ちます。リリーが病気になったと聞いて沖縄まで飛んで行ってしまう寅さん。そしてのんびりした沖縄で夫婦同然の暮らしを始める2人。ほんとに夢のように幸福な時間です。夢を見ていたのは2人だけではなく、映画を見ている私たちもそうなのです。

ちなみに、2人が偶然再会するラストシーン、私は蛇足だと思います。この2人が結ばれないことは本作で決定的になったわけで、悲しすぎて、最後のシーンはなんの慰めにもならないのです。それに傷ついた寅さんを慰めるのは旅芸人一座の役割です(笑)
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